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世田谷リハビリテーション病院

当院のリハビリテーション|世田谷リハビリテーション病院

リハビリテーション科専門医2名(原 寛美医師宮村 紘平医師)による最新のニューロリハビリテーションに基づいた治療を提供します。

東京リハビリテーションセンター世田谷
センター長 原寛美

脳卒中の発症率は、470人/人口10万人・年とされています。急性期の血栓溶解療法や血栓回収術など、治療技術は進歩していますが、多くの方に運動麻痺などの症状が残ります。脳卒中のリハビリテーションの最も重要なテーマが、運動麻痺の改善です。
この10年間で脳卒中による運度麻痺を改善するための脳卒中リハビリテーションは、大きく変化してきました。

一つは運動麻痺を改善するための方法論が明らかになってきました。脳卒中後に、歩行は獲得できても、麻痺した上肢(手指)はなかなか改善しませんでした。その理由の一つは、下肢と歩行を司る神経回路と、上肢(手指)の機能を司る神経回路は異なっており、そのため、異なるリハビリテーションの戦略が必要となるということです。そして重度な上肢(手指)麻痺の改善には、どの程度の時間を要するのか、リハビリテーションが必要とされる期間も分かってきました。それにより、リハビリテーションの方針を決めることができるようになりました。とくに発症から1ヶ月以内にリハビリテーションを開始しないと、麻痺側上肢を支配する大脳半球の運動野が50%以上萎縮してしまい、1ヶ月経過後からリハビリを開始しても、その萎縮を取り戻すことは不可能であるなどが分かってきました。そのため、発症から1ヶ月以内は、運動麻痺回復の重要な時間的枠組み(Critical Time Window)と言われるようになりました。発症からの時期により、1st stage(発症から1〜2ヶ月)、 2nd stage(3ヶ月前後の時期)、 3rd stage(6ヶ月以後)の3つの回復のステージが明らかにされています(原 寛美:脳卒中運動麻痺回復可塑性理論とステージ理論に依拠したリハビリテーション。脳神経外科ジャーナル 2012)。3つのステージ別にリハビリテーションを進めることにより、運動麻痺の効果的な回復をすすめることができるようになっています。

二つ目は、運動麻痺を改善させるための、方法論として、神経筋電気刺激と言われる機器が開発されてきました。当院では、HANDSと言われる上肢麻痺への治療や、NM-F1という新しい治療機器を導入しています。
さらに、損傷した脳のメカニズムを変化させる(調整する)、ニューロモデュレーションと呼ばれる経頭蓋磁気刺激TMSなどが、リハ治療とともに導入されるようになりました。従来は発症から3〜6ヶ月で回復が頭打ちになっていた上肢(手指)の機能回復が、経頭蓋磁気刺激TMS治療と集中リハビリにより可能となってきました。当院では、回復期リハビリの段階から、経頭蓋磁気刺激TMSによる治療を開始しています。

三つ目は、麻痺の回復を阻害する痙縮という筋肉の異常緊張である症状が、発症の1〜3ヶ月頃から出現します。従来は効果的な治療法がありませんでしたが、2010年からA型ボツリヌス製剤(ボトックス)が、その痙縮の改善に投与することが保険診療上可能となりました。これにより、発症1〜3ヶ月で痙縮の出現のために、回復が頭打ちになっていた運動麻痺の改善を変化させることが可能となってきました。例えば、麻痺した下肢には、内反尖足という異常な症状が出てきていましたが、A型ボツリヌス製剤(ボトックス)を、内反尖足の原因となっている筋肉へ投与することにより、改善させることが可能になってきました。それにより、従来は麻痺下肢には、下肢装具を使用しなければ、歩行が困難でしたが、A型ボツリヌス製剤(ボトックス)治療を経ることで、装具使用からの脱却が可能となる治療成績が明らかになってきました。A型ボツリヌス製剤(ボトックス)治療は、発症1〜3ヶ月時期だけではなく、生活期(慢性期)において、運動麻痺肢に痙縮を生じている場合にも、治療効果があることが明らかになってきました。今日、脳卒中のリハビリテーションで痙縮が認められる場合、A型ボツリヌス製剤(ボトックス)治療は欠かすことができない選択肢となっています。Hara T et al :The Effect of Repeated Botulinum Toxin A Therapy Combined with Intensive Rehabilitation on Lower Limb Spasticity in Post-Stroke Patients。Toxins 2018, 10

四つ目は、ロボット技術をリハビリテーション機器として導入できるようになっています。筋肉や関節の微細な動きを検出して、それを増幅する手助けをするなどの機能を有しており、上肢麻痺の改善や、歩行の獲得に役立てることが可能となりました。当院では、Tyro Motion®と言うVR技術などを用いたハイスペックの新しい上肢のロボット訓練機器を導入しています。

脳卒中のリハビリテーションは、急性期と発症後5〜6ヶ月までの回復期まで、その後の生活期とに、前者は医療保険、後者は介護保険での治療として便宜的に区分されています。しかし、急性期も、回復期も、また生活期も、いずれも症状の改善のためには重要な時期です。その時々に必要とされている新しい治療法と技術を取り入れてリハビリテーションを継続することが必要となります。
当院では脳卒中後麻痺の治療として、回復期病棟入院中にTMS治療を行っています。
経頭蓋磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation:TMS)治療は大脳皮質を直接的に刺激することのできる方法であり、磁気刺激によって脳の特定部位の神経活動を活発化、または抑制する治療のことです。残存している神経に刺激を加えたり、脳卒中などの障害によって崩れた左右の脳のバランスを整えたりして、リハビリテーション効果を引き出して麻痺を改善しやすくします。

運動麻痺の改善に対して、TMS治療は数多くの医学的エビデンスが明らかにされています。

(文献1) 安保雅博、角田亘:脳卒中後遺症に対するrTMS治療とリハビリテーション.金原出版株式会社2013

(文献2) 原寛美:エビデンスに基づく経頭蓋磁気刺激(TMS)治療 総論.リハビリテーション医学2019.1

(文献3) 角田亘:慢性期脳卒中後上肢麻痺におけるrTMSの適用.リハビリテーション医学2019.1

(文献4) 佐々木信幸:発症早期脳卒中におけるrTMSの効果.リハビリテーション医学2019.1

病状に応じて、1Hz(1秒間に1発の刺激)の低頻度刺激と5~10Hz(1秒間に5~10発の刺激)の高頻度刺激での治療を行います。

コイルを頭に当てて、磁気刺激を行います。

① 障害側の脳を高頻度で刺激

② 障害がない側の脳を低頻度で刺激

脳卒中病巣

治療の流れ

リハビリテーションに先駆けてTMSを実施することにより、リハビリテーション効果を高めることになります。
TMS(経頭蓋磁気刺激)

1対1の個別リハビリテーション

自主トレーニング
当院では脳卒中後の上肢麻痺、下肢麻痺に対して、TMS治療を行っています。
心臓ペースメーカーが入っている人や体に磁気に反応する金属が入っている人、痙攣発作がある人は磁気刺激治療を受けることはできません。また、手指の運動がある程度できること等適応基準があります。医師が診察をして、TMS治療の実施可否を判断します。
JSTS 日本スティミュレーションセラピー学会 | http://www.j-sts.jp/index.html
当院ではリハビリテーションロボットデバイス「タイロモーションシステム」を導入し、主に脳卒中後上肢麻痺に対する治療に適用しています。

タイロモーションシステム(Tyromotion System)

世界の1,500ケ所以上の施設で使用されているタイロモーションシステムは、上肢リハビリテーションのためのコンピューターアシストシステムを採用した、新世代の革新的な訓練ロボットです。


当院ではタイロモーションシステムのうち5つの機器を使用し、手指、前腕、肩の運動などに合わせて最適なリハビリテーションプログラムを提供します。

システムの1つDIEGO(ディエゴ)
バーチャルリアリティと懸垂装置で
上肢麻痺の回復をサポートします。
運動麻痺に合わせた課題を選択し、
ロボットのアシスト量を調整することで
麻痺の回復に適切な運動を行います。

多種多様な下肢装具を用いて、運動麻痺の改善を促し、歩行能力の向上を図ります。

補装具の処方が必要な時は医師・理学療法士・義肢装具士等多職種でブレースカンファレンスを実施し、患者さんの病状に適した補装具を選定します。

ゲイト・ソリューション(Gait Solution)
ゲイト・イノベーション(Gait Innovation)

油圧機構によりブレーキ機能が発揮され、ロッカーファンクションをサポートします。脳卒中後の患者さん等に対し、早期からゲイト・ソリューションを用いてリハビリをすることで、自然な歩容を目指します。
重度の運動麻痺の場合でも、装具を用い歩行を行うことで、機能回復を促進し、歩行能力の改善に繋げます。

※ロッカーファンクション:歩行時に足がついているときの足首の動きの機能を指します。片麻痺など運動麻痺があると正常な足首の動きが制限されることがあります。

歩行を撮影、分析して視覚的フィードパックを行い治療を進めます。

当院ではGait Judge System(簡易歩行分析システム)を用いて、歩行の状態を患者さんにお伝えすることで、より効果的な治療を行えるよう役立てています。 撮影した動画をタブレット端末で医師やセラピストと患者さん自身にも確認して頂き、結果をフィードバックします。

当院では上肢痙縮・下肢痙縮(手足のつっぱり)に対する治療として、筋肉にボツリヌス毒素を注射する「ボツリヌス療法」を行っています。

痙縮とは、、

手足の筋肉がつっぱったり、こわばったりすることで手足の関節が動かしにくくなる状態。

上下肢痙縮に対するボツリヌス療法は脳卒中治療ガイドラインでグレードA(行うよう強く勧められる)に位置付けられています。

つっぱっている筋肉に注射をすることで、筋肉の緊張を緩め関節を動かしやすくします。

治療例

下肢痙縮に対する3回の反復ボツリヌス療法施行

治療前

1回目治療後

2回目治療後

3回目治療後

3回目治療後

徐々に内向き(内反)だった足首が改善し、下肢装具を使用せずに歩けるようになった症例。反復ボツリヌス療法と集中的リハビリテーションを実施した結果、3分の1の患者さんは下肢装具を使用せず歩くことができるようになったことが明らかにされています。
(装具を使わないようになった方は、麻痺がない下肢をしっかり前に出してこと歩くこと(前型歩行)ができた方だった。)

文献

Hara T, Abo M, Hara H et al :The Effect of Repeated Botulinum Toxin A Therapy Combined with Intensive Rehabilitation on Lower Limb Spasticity in Post-Stroke Patients.Toxins 2018, 10

センター全体で理学療法士75名、作業療法士17名、言語聴覚士13名 総勢105名のセラピストでリハビリテーションを提供しています。(2019.6.1現在)
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