医療や介護分野ではFIMという指標が使われています。
FIMとは、「Functional Independence Measure」の略語で、「機能的自立度評価法」といいます。FIMは食べる、歩く、トイレへ行く、お風呂に入るなどの日常生活動作の介助量を計測することができ、最も信頼性と妥当性があるといわれています。
日常生活動作(Activities of Daily Living)とは?
日常生活動作とは上述したように「食事・排泄・入浴など」の日常生活を送るうえで必要な動作のことを指します。Activities of Daily Livingを省略して、病院や介護施設ではADLと呼ばれています。回復期病院のリハビリテーションではADLを改善していくことを主要な目標として治療を行っていきます。
FIMで採点する
FIMの採点は、運動項目と認知項目の計18項目を7段階で行います。運動項目には食事、整容、清拭、更衣、トイレ動作のセルフケア、移乗、排泄コントロール、移動があります。認知項目にはコミュニケーション、記憶や問題解決などの社会的認知があります。
それぞれの項目を1~7点で採点し、満点は126点、最低点は18点となります。点数が高いほど日常生活の自立度が高いとわかります。項目ごとに介助量が点数化されているので、変化が確認しやすいことも利点の一つです。
FIM(Functional Independence Measure)機能的自立度評価表
運動項目 |
セルフケア |
食事
整容
清拭
更衣・上半身
更衣・下半身
トイレ動作
|
排泄コントロール |
排尿管理
排便管理
|
移乗 |
ベット・椅子・車椅子
トイレ
浴槽・シャワー
|
移動 |
移動手段
歩行
車椅子
階段
|
認知項目 |
コミュニケーション |
理解 |
表出 |
社会的認知 |
社会的交流 |
問題解決 |
記憶 |
点数 |
自立 |
7点 |
完全自立 |
部分介助 |
6点 |
修正自立 |
5点 |
監視 |
介助あり |
4点 |
最小介助 |
3点 |
|
完全介助 |
2点 |
最大介助 |
1点 |
全介助 |
FIMで採点してわかること
ADLを点数化することで病気やリハビリテーションの予後を予測することに役立ちます。例えば、脳卒中患者さんの在宅復帰には,FIM運動項目57.5点,FIM認知項目23.5点以上の能力が必要であったという報告があります。もちろん、在宅退院されたすべての患者さんがこの点数の範囲に収まるわけではありませんが、一つの目安にはなります。
その他にも脳卒中を発症してから間もないFIMの点数から、どの程度までADLが回復するかを予測する研究などFIMの点数を用いて多くの研究が行われ、リハビリテーション治療に役立てようとされています。
回復期リハビリテーション病棟では、入院から退院まで少なくとも1ヶ月毎にFIMを用いてADLの評価を行います。当院をはじめ多くの病院でリハビリテーションの進捗状況の説明にも使用されています。FIMの点数を上げられるように、つまり患者さんの日常生活動作を改善できるように当院スタッフ一同リハビリテーションに取り組んでいきたいと思います。