学術大会に参加しました
2021年10月21日・22日に三重県伊勢市で開催されました「第3回日本スティミュレーションセラピー学会 学術大会in三重」に当院リハビリテーション部門のスタッフが参加してきました。今回は当院における脳卒中後の上肢麻痺に対するTMS治療に関する演題発表を行ってきました。
学術大会では当院でも行われている経頭蓋磁気刺激(TMS)治療に関する研究も数多く報告されており、TMS治療に関する最新の知見を学ぶことができました。
TMSとは
経頭蓋磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation)のことで、磁気刺激を頭部に当てることで、非侵襲的に大脳皮質を刺激することができます。TMS装置本体に接続された刺激コイルを頭にあて、コイルに電流を流すことで磁場が発生し、頭蓋骨を通過して脳内に達することで大脳を刺激します。反復性(繰り返し)に磁気刺激を行うことで脳の活動を高めたり抑制することができるので、現在では脳卒中後遺症やうつ病、神経障害性疼痛(ニューロパチックペイン)をはじめ、様々な疾患の治療に使われるようになっています。
特に脳卒中後の運動麻痺や言語障害(失語症)の治療ではTMSと集中的なリハビリテーションを併用することで良好な治療効果が得られることが報告されており、今回の学会でも多くの取り組みが発表されていました。
当院での取り組み
当院では回復期リハビリテーション病棟に入院中の患者さんを対象に脳卒中後の上肢運動麻痺に対するTMS治療を行っています。しかし、治療は誰でも受けられるわけではなく、麻痺の程度や全身状態などを踏まえ治療適応であるかを判断する必要があります。また、脳卒中後の運動麻痺に対してTMSは有効な治療手段ではありますが、TMSとリハビリテーション(運動療法)を組み合わせることが重要とされており、当院では訓練用ロボットや物理療法を使用したリハビリテーション治療にも取り組んでいます。今後も患者さんにとって、最適なリハビリテーションを提供できるように研修・研鑽を積んでいきたいと思います。
【参考】
1) 安保雅博,角田亘.脳卒中後遺症に対するrTMS治療とリハビリテーション.2013;金原出版
2) Evidence-based guidelines on the therapeutic use of repetitive transcranial magnetic stimulation (rTMS): Clin Neurophysiology. Feb 2020;131(2):474-528.