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世田谷リハビリテーション病院 > リハビリテーションコラム > 【第8回】歩行補助具について

リハビリテーションコラム

2022.06.30

【第8回】歩行補助具について

歩行補助具とは、何らかの原因により歩行困難が生じた場合に、歩行能力を維持あるいは獲得するために用いる道具です。歩行補助具の使用目的は基本的には支持と保護の2つに大別され、支持は補助や機能の代償、保護は免荷や予防などがあります。
いずれの目的においても獲得すべき能力は歩行の実用性であり、安全性・安定性、耐久性、スピード等の向上を目指すことです。
けがや病気、加齢による筋力低下のため転倒してしまう、長距離を歩けないということが起こります。その時に、歩行補助具を使用することにより、足の負担を減らし歩行がしやすくなったり転びにくくすることができます。 歩行補助具は様々な種類がありそれぞれの特徴があります。
そこで今回は歩行補助具の一部紹介と高さ調整についてご紹介します。

歩行補助具は大きく分けて歩行器と杖があります。多様なため当院で使用されている歩行補助具を中心に紹介します。

歩行器

歩行器にはサークル歩行器、ピックアップウォーカー、シルバーカーがあります。

サークル歩行器

前腕部で支持する型は安定性に優れ、高齢者、全身の筋力低下や立位バランスの低下した症例に適しています。リウマチなど手指や手首に負担をかけられない人なども適応とされ、整備された環境での使用が目的となります。

ピックアップウォーカー(PUW)

歩行器全体を持ち上げ前方に下ろして移動し、高齢者の早期離床や一側下肢の部分免荷に用いられます。肩や肘の筋力が保たれていることや立位が安定していることが必要です。

シルバーカー

日本独自の屋外歩行車です。使用せずとも歩行可能な方が適応とされていますが、座って休憩をすることや荷物を入れるために使用されます。

杖にはT字杖、4点杖、ロフストランドクラッチ、松葉杖があります。

T字杖(1本杖)

軽い歩行障害に適応があり、屋内外をはじめ幅広い環境で使用されます。
立位は可能であることが条件で、体重をかけての歩行には適しません。

4点杖(多点杖)

体重の支持性に優れています。重量はあるため平地以外では不向きです。
立位バランスが不安定な症例や歩行練習の初期段階で使用されます。

ロフストランドクラッチ

体重を支える握り手と前腕を支えるカフを備えた杖で、上肢を固定する前腕カフがあるため中等度の歩行障害や上肢固定力・肘伸展筋力の低下した症例に適しています。

松葉杖

下肢への荷重量を自由に選択できるため幅広い疾患に適しています。
下肢骨折などの整形疾患などで負担の軽減が必要な症例や切断など更なる支持が必要となる症例に適応します。

足の力が弱くなってきた、長く歩くのが大変だと感じたら、安全に歩行するために歩行補助具の使用を検討することも必要です。
介護保険が適応されるレンタル福祉用具の中に歩行器、歩行補助杖が含まれています。
希望する場合は指定居宅介護支援事業者・地域包括支援センター(ケアマネージャー)に相談し、貸与を受けることが可能です。
当院入院時には身体機能に合わせて歩行補助具を提供し、退院後に安全な生活が送れるように歩行補助具の選定を行っています。

【参考文献】
・歩行を診る―観察から始める理学療法実践 文光堂 2011年
・標準理学療法学 日常生活活動学・生活環境学 第4版 医学書院 2012年