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世田谷リハビリテーション病院 > リハビリテーションコラム > 【第10回】装具について

リハビリテーションコラム

2022.08.31

【第10回】装具について

装具とは、四肢・体幹の機能障害を軽減するために外部から支持、補助をする器具です。リハビリテーションでは主要な治療法の1つになり、脳血管疾患はもちろん、脊髄損傷等の脊髄疾患、骨折や関節リウマチ等の骨関節疾患など、装具適応となる疾患や障害は多岐にわたります。
装具は一般的に関節や骨折部位の固定や体重支持、弱化した筋の補助や代償、変形の予防や矯正、体重の免荷などの目的で作製され、装具を使用することで痛みの軽減や安定した歩行の獲得、日常生活動作の改善が期待できます。

装具作成の流れ

カンファレンス等で装具の必要性を評価

医師の処方

採型

仮合わせ・完成

装具作成には主治医の処方が必要になります。
当院では原則的に入院患者さんのみ装具作成対応を行っています。

装具の分類と名称

装具には様々な分類方法があり、それに合わせて多くの名称があります。

1)装着部位による分類

①上肢装具
②下肢装具
③体幹装具

2)制度的な分類

①治療用装具:痛みの軽減や機能回復など治療のために使用される装具
       医師が必要と判断した際に作成可能
       作製時には医療保険が適用される
②更生用装具:変形予防や日常生活を維持するために使用される装具
       作製時には障害者手帳が適用される

3)材料による分類

①金属装具
②プラスチック装具
③軟性装具
④硬性装具

以下では当院で主に使用している下肢装具についてご紹介いたします。

1)短下肢装具(Ankle Foot Orthosis・AFO)

膝から下を覆う装具で、歩行時に足首が内向きになるのを防いだり、足首が上がらず躓くのを防ぐことができます。

①金属支柱付きAFO

足首の固定角度を任意で変更することができます。足部は靴型の他、足部覆いやプラスチック製もあります。下のプラスチック製の装具と比較すると重たいですが、足首の固定力は高いです。

②シューホーンブレイス(Shoe Horn Brace・SHB)

金属支柱装具のように足首の角度を変更することはできないですが、可撓性を設けプラスチックがたわむことで足首の動きが多少可能となっています。作製の際にプラスチックの厚さや幅を変えたり、踵やつま先部分を切り取ったりなどの調整が可能です。

③ゲイトソリューションデザイン(Gait Solution Design・GSD)

片麻痺の方の歩行動作分析結果とバイオメカニクス理論に基づき開発された短下肢装具で、歩行時の踵接地時の足首の動きを油圧で制御し、振り出す際の足首の動きを若干補助します。

④オルトップ®AFO LH

SHBを軽量かつコンパクトにしたもので、ほかの装具と違い既製品となっています。固定力は弱いため軽度の麻痺の方に使用されます。

2)長下肢装具(Knee Ankle Foot Orthosis・KAFO)

膝と足首を固定できる装具で、短下肢装具の特徴に加えて歩行時に膝が折れるのを防止することが可能です。

①金属支柱付き長下肢装具

膝の横にある継手を止めることで膝が折れるのを防いでくれます。

②ゲイトイノベーション(Gait innovation)

膝の継手がダイヤル型になっており、膝がまっすぐに伸びない人でも装着が可能です。

装具は装着の煩わしさや見た目から敬遠されたり、退院後に自己判断で使用せずに歩行されている方も少なくはありません。しかしながら装具を使用しないことで、痛みの出現や足の変形、歩行時の転倒リスクが高くなります。また装具は消耗品であるため、一度作製したものをずっと使い続けられるわけではありません。体系の変化など、身体の状態の変化でも作り直す必要があります。装具が壊れたり使用していて違和感を感じたら、担当の医師やセラピストに相談してください。自分の身体に合った装具を使用し、快適な日常生活を送りましょう。