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世田谷リハビリテーション病院 > リハビリテーションコラム > 【第14回】不顕性誤嚥と嚥下内視鏡検査について

リハビリテーションコラム

2023.02.06

【第14回】不顕性誤嚥と嚥下内視鏡検査について

はじめに

最近、誤嚥性肺炎という言葉はテレビなどの報道でもよく耳にするようになってきました。
今回は誤嚥性肺炎の原因とされている不顕性誤嚥の内容や不顕性誤嚥を診断・評価するための嚥下内視鏡検査(VE)についてご説明します。

誤嚥(顕性誤嚥)とは

胃に送りこむための道(食道)に行くべきはずの唾液や食事、水分が誤って呼吸の道(気管)に進んでしまうことです。
基本的に誤嚥した際は気管に入った誤嚥物を喀出(吐き出す)しようと咳をする防御反応が起きます。

不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)とは

誤嚥をしても咳(防御反応)が出現しない症状のことを言います。
咳が出現しないと誤嚥物が徐々に気管から肺に進んでいき肺に溜まっていきます。
不顕性誤嚥の原因は脳卒中の後遺症や加齢などによる、気管を含む喉(のど)の感覚低下です。
実生活では発熱や痰の増加で初めて症状に気づきますが、風邪と勘違いをしてしまい病院を受診せずに自宅療養してしまうと、症状が重篤になるケースもあるため発熱時は病院を受診することをおすすめします。

不顕性誤嚥の診断

不顕性誤嚥を診断するには嚥下内視鏡検査(VE)と嚥下造影検査(VF)があります。
今回は当院でも実施している嚥下内視鏡検査(VE)をご説明します。

嚥下内視鏡検査(VE)とは

細長い内視鏡を鼻から喉に入れて飲食物が正常に飲み込めているか観察する検査です。
特に脳卒中が原因で飲み込みに障害(嚥下障害)がある方を中心に実施しています。
VE検査の機器は持ち運びができるためどの場所でも可能です。
当院では椅子やベッドで実施しています。
在宅でも訪問医が簡易的な内視鏡を使用することで実施は可能であり、移動手段がない方にはとても便利な検査です。

検査の実際

飲食物を摂取していない際の喉の中の唾液や痰の確認とトロミ付きの水やゼリー、実際の食事を召し上がっていただきます。
食事や水分に関しては咀嚼(噛む)の効率性や飲み込むタイミング(ごっくん)、飲み込んだ後の喉の状態(喉への飲食物の残留や窒息、誤嚥の有無など)を評価します。

検査の注意点

内視鏡の先端は喉にあるため、食物を咀嚼する様子や舌の動き、食べ物が食道を通過する様子は観察できませんが、飲み込んだ後の喉の状態を確認することは可能です。

おわりに

誤嚥性肺炎を繰り返している方や誤嚥をする回数が増加し状態が怪しいと思った場合は総合病院や歯科、訪問医に相談し、飲み込みの状態を確認していただくことをおすすめします。