脳卒中後、回復期リハビリテーション病棟でリハビリテーションを行い、心身の機能が回復してきて、自宅への退院を検討するようになると在宅復帰を支援する様々な指導が行われます。今回はその内容の一部を紹介していきます。
主な在宅復帰への支援
回復期リハビリテーション病棟から退院する前に行われることが多い在宅支援には次の内容があります。
1.退院前訪問指導(家屋評価)
2.退院前栄養指導
3.退院時服薬指導
それぞれの内容について、ご紹介します。
1.退院前訪問指導(家屋評価)
退院前に入院中の患者さんとセラピストを中心とした病院スタッフ、在宅生活を支えるケアマネジャー等で実際にご自宅に訪問して、退院後の生活を見据えた指導や環境調整を行います。脳卒中後では退院時も運動麻痺や高次脳機能障害が完治には至っていないこともあり、ご自宅で安全に生活を送るために、実際に自宅内で移動手段や家事動作を確認します。さらに必要であれば、段差を解消する、階段に手すりを設置するなどの家屋の改修を行うことがあります。
自宅へ戻ると環境が変わり、「病院入院中には出来ていたのに家に帰ると出来なかった」ということが起こり得ます。そのようなことが極力起こらないよう、事前に患者さんご自身の自宅で確認を行うという取り組みになります。
2.退院前栄養指導
脳卒中後に限りませんが、退院前に栄養状態に問題がある、不安がある患者さんに対して管理栄養士から退院後の食事内容について指導を行います。
特に脳卒中後では低栄養状態では、日常生活動作(歩く、入浴する動作、着替える動作など)の改善が低くなると言われており、退院後もしっかりとして栄養を摂ることが勧められます。
3.退院時服薬指導
脳卒中後では退院後も血圧をコントロールする薬や、血液を固まりにくくする薬を飲み続けることが必要になることがあります。それらの薬は再発予防のために処方されていることが多く、大切な薬になるのでしっかり飲み続けられるように指導を行います。
片麻痺の影響で薬を口の中に入れるまでの動作が難しかったり、嚥下機能に配慮する必要があったり、薬の飲むという習慣を管理する必要があったりと、患者さんに合わせて、必要があればご家族をはじめとした介護者の方へ指導を行います。
今回は、主な在宅生活支援のための指導を紹介しました。他にも、病院を退院する前には多くの退院前在宅復帰支援が行われています。
【参考・引用文献】
原寛美・他:脳卒中リハビリテーションポケットマニュアル,第2版,医歯薬出版株式会社,2023.