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世田谷リハビリテーション病院 > リハビリテーションコラム > 【第30回】認知症とリハビリテーションについて

リハビリテーションコラム

2026.3.13

【第30回】認知症とリハビリテーションについて

認知症とは

認知症にはいくつかの種類があり、原因や症状に違いがあります。主な認知症の種類は次のとおりです。

① アルツハイマー型認知症

最も多い認知症で、全体の約半数以上を占めます。脳の神経細胞が少しずつ壊れていくことで起こり、初期には物忘れが目立ち、同じことを何度も聞いたり、最近の出来事を思い出せなくなります。進行すると時間や場所が分からなくなり、日常生活に介助が必要になります。

② 血管性認知症

脳梗塞や脳出血など、脳の血管の病気が原因で起こる認知症で、症状が急に現れたり、良くなったり悪くなったりをくり返すのが特徴です。判断力の低下や感情の変化がみられることが多いです。

③ レビー小体型認知症

脳に「レビー小体」という異常なたんぱく質が溜まることで起こり、実際にはないものが見える幻視や、体が動きにくくなる症状が特徴です。症状の変動が大きく、日によって調子が違うことがあります。

④ 前頭側頭型認知症

脳の前頭葉や側頭葉が障害されることで起こり、物忘れよりも性格の変化や社会的なルールを守れなくなることが目立ちます。若い年代で発症することもあります。

認知症に対するリハビリテーションとは

目的

・認知機能の維持・低下予防
・身体機能・生活動作の維持
・不安や混乱を減らし、生活の質を上げる
・その人らしさ・役割感を保つ

主なリハビリの種類

①理学療法(PT):身体を動かして、転倒・寝たきりを防ぐ。
・歩行練習、立ち上がり練習
・軽い体操、ストレッチ
・バランス練習等

②作業療法(OT):「生活そのもの」がリハビリで、その人が昔やっていたことを活かす。
・洗濯物たたみ、料理の下準備等の家事動作練習
・園芸、手工芸、塗り絵等の趣味活動

③認知リハビリテーション:「考える力」を直接刺激するもので、正解・不正解にこだわらないのが重要。
・回想法(昔の写真・音楽・思い出話)
・簡単な計算、間違い探し、パズル
・日付・場所・人を確認する見当識練習

認知症の方への接し方のポイント

① 否定しない・訂正しない:間違いを正すより、安心感が最優先。
「違うでしょ」「さっき言ったでしょ」
「そう思ったんだね」「一緒に確認しようか」

② ゆっくり・短く・具体的に伝える
・一文一指示(1回に1つ)
・抽象語は避ける
「後で準備してね」
「今、靴を履こう」

③ 目線を合わせて、名前を呼ぶ:急に話すと、恐怖や拒否につながりやすい。
・正面から穏やかに話しかける
・いきなり後ろから話しかけない

④ 自分で出来ることは自分で行わせる:「人に任せる」ではなく「一緒にやる」
・時間がかかっても見守る
・途中まででもOK

⑤ 感情に共感する(事実より気持ちが大切):認知症の人は感情がはっきり残る。
「そんなこと起きてないよ」
「不安だったんだね」

⑥ 環境を整える:混乱の原因は「環境」のことも多い。
・物の置き場所を固定する
・カレンダーや時計を見やすい位置にする
・余計な音や刺激を減らす

⑦ 叱らない・急がせない
・怒られると「怖い」という感情だけが残る
・焦りは症状を悪化させやすい
【参考資料】
田平隆行:Evidence Basedで考える認知症リハビリテーション.医学書院
小林幹児:介護職、リハビリ職のためのシンプル回想療法.福村出版